折原 一の「被告A」を読んだ。新趣向の誘拐&法廷ミステリだな。

折原 一と言えば叙述トリック叙述トリックと言えば折原 一。
ミステリーの分野で、叙述トリックってのが有るんだけど、その叙述トリックの第一人者、折原 一の小説「被告 A」を読んだ。
これまで折原作品はいろいろ読んだけど、この「被告 A」の読後感は・・・

剛腕!

いやぁ、腕力で着地させられたような印象だ。
もちろん、伏線も回収されてるし破綻も無いんだけど、これまで読んできた作品とはチョット味付けが違う。
叙述トリックの魅力は何と言っても、

ミスリードされる快感!

だと思ってるんだけどね。
さすが折原 一、その辺の事はちゃんと心得てるし、予想もつかない方向に誘導してくれるんだけど、予想外すぎる結末。イメージとしては、暴風雨の中、飛行場に着陸する旅客機に乗ってるような・・・。

これ、最後はどうなるんだ?

って、ドキドキしながらも、剛腕で無理やり着陸させるような・・・。そして乗客から拍手が・・・ みたいな結末と言う感じだな。

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とりあえず文庫本の背表紙の文章から引用。

東京杉並区で起きた連続殺人事件は、死体に残されるトランプの絵柄から”ジョーカー連続殺人事件”と呼ばれた。田宮亮太は、自供により法廷に引き出されるものの、一転して無罪を主張し、逆転の秘策を練る。一方では新たな誘拐事件が発生し、息子を取り戻すために、一人の母親が孤軍奮闘をしていた。姿を見せない真犯人はどこに?驚くべき結末が待つ新趣向の誘拐&法廷ミステリ。

この文章だけ見ると、読書欲をそそるよね。
書いてるのは折原 一だし、多分、叙述トリックなんだろうな、と分かってても手に取ってしまうんだよなぁ。
物語は二つの舞台が交互に語られて進んでいくんだけど、一つは、連続殺人事件の犯人として逮捕された男の警察での厳しい取り調べの場面。もう一つが、息子を誘拐された母親の場面・・・。
まったく関係のない物語を交互に見せていく方法は、いろんなミステリ(もちろん叙述トリックでも)よく使われる手法だけど、読んでいてもサッパリ予想がつかなかったな。
よくあるパターンで、交互に語られてる物語が、実は5年とか10年とか、全然、時間軸の違う描写だった、ってのが有るんだけど、序盤に思ったわけ。

この「被告 A」も、交互に語られてる物語、時間軸が違うんじゃないか?

途中であっさりと違うことがわかった。どう考えても、同じ時間軸で動いてる物語だ。
じゃぁ、この警察で取り調べられてる物語と、息子を誘拐された母親の物語、どこでどう繋がるんだ?
中盤までは、やや中だるみしそうな描写なんだけど、舞台が警察署から裁判のシーンになると一変。

無罪を勝ち取る秘策って何だ?

身代金の受け渡しって、どうやるんだ?

二つの物語が驚きの結末に向けて急加速だ。
寝ようと思ったんだけど、これから面白くなる!ってのが分かってるのに寝れるわけない。
また徹夜して読んでしまったぞ。

別々に語られてた物語、最後には一つの物語として結末を迎えるんだけど、

そう来たか!

って感じだな。
これ、腕力でねじ伏せるって感じの結末だ。
折原 一の剛腕だな。
いや、読んでる途中も、いくつか有ったんだよなぁ。

ん?

この人物のセリフ、なんか違和感だな

って言うような描写ね。
改めてその部分を読み返すと、なるほどなぁ、ちゃんと伏線になってるんだよね。
今回も見事にミスリードされた。
この騙される快感・・・
これが有るからミステリ(特に叙述トリック)読みは止められないのだ。

 

ミステリーもいろいろなジャンルが有るんだけど、読み比べてみると面白い。どれかにハマればそのジャンルばっかり読むようになるかもだww

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誘拐を扱った小説とか映画とかドラマの見どころに、犯人はどうやって身代金を受け取るんだ?ってのが有るでしょ。警察とかに通報されて、受け渡し場所なんかは監視されてるかもしれないし・・・。
この受け渡しの方法作者の腕の見せ所だと思うんだけど、オレがこれまで読んできた中で、

ほぉぉ、これは斬新で凄いな!

って思ったのが、楡 周平「フェイク」って小説。これは軽めのピカレスク小説と言っても良いと思うけど、なかなかどうして一気読みさせるパワー溢れる小説。
そうそう、法廷ミステリでも面白いものが有る。小泉 喜美子「弁護側の証人」だ。これ、超有名作だけど、しばらく絶版になってて読みたくても図書館に行って読むしか出来なかったんだけど、何年か前に道尾 秀介の解説で再販されたな。タイトルはA・クリスティ「検察側の証人」と似てるけど、この小説もなかなか衝撃の結末だったな。

この「被告 A」、誘拐モノ、法廷ミステリの単体として読むと、「フェイク」「弁護側の証人」の高みには届かないだろうけど、物語全体としての出来栄えは徹夜本と呼べる水準。
この勢いで、折原作品、続けて読もうかな・・・。

 

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次回の予定~
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(アホみたいなオカルト話w)
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