現役精神科医の書いた「閉鎖病棟」を読んだ。

今の時代、精神病院って呼び方は差別的表現とされるみたいで、「精神科病院」と呼ぶらしい。その理由なんかも、ちゃんと法律に明記してあって、こちらに記載されてるんだけど・・・
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精神病院の用語の整理等のための関係法律の一部を改正する法律(平成18年6月23日法律94号)

[背景] 
 精神病院という用語には、精神病者を収容する施設というイメージが残っており、そのことが、精神科医療機関に対する国民の正しい理解の深化や患者の自発的な受診の妨げとなっていること。
[内容]
 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等における「精神病院」という用語を「精神科病院」という用語に改めること等とするもの。
って事なんだけどね。

 


今回は、その「精神科病院」を舞台にした小説、「閉鎖病棟」の話。
閉鎖病棟 (新潮文庫) 閉鎖病棟 (新潮文庫)
帚木 蓬生

新潮社
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まずは作者の帚木蓬生さんについて、ちょっと紹介してみようか。
この作者の小説、初めて読んだんだけど、なかなか変わった経歴の持ち主みたいだ。
東大の仏文科を卒業してTBSに入社するも2年で退職。その後、九州大学の医学部で学んで、現在は精神科医って事らしい。東大を卒業後、テレビ局に勤務して、わざわざ辞めて医学部に入りなおすとか・・・ちょっと凄いやん!って思ってしまうぞ。
35歳の頃、オレも真面目に考えた事あるんだけどね、
もっかい勉強して、今度は医学部に行こうか!?
って。まぁ、年齢的な事もあるし、仕事の問題もあるしで、すぐに諦めたけどなw
なにより、完璧な文系人間のオレには、数学が鬼門だww
経歴が興味を惹くし、精神科の小説ってわりと読んでるので、今回、読んでみたってわけだ。

まずは背表紙から本書を紹介。

とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。その日常を破ったのは、ある殺人事件だった・・・。彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは・・・。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。

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Amazonのレビューなんかは、わりと高評価が多いみたいだけど、オレ的には・・・
う~ん・・・
これ、理想的すぎない?
冒頭、14歳の女子中学生が産婦人科の門を叩く場面。これは、父親は誰なのか?って気になるけど、ミステリーじゃないので、その辺りはサラッと進む。
場面は変わって、昭和21年とか22年の場面。いきなりの時代の転換に頭がついて行かない・・・。突然、戦後の描写になって戸惑った。
かなり読み進んだところで、ようやく現代の話へ。
ここからは精神科病院に入院してる患者(主に男性)の話なんだけど、一人しか悪役が出てこないんだよなぁ。他の人は、みな「良い人」で描かれてる。これが、オレ的には・・・
拭いがたい違和感
これまで、何冊か精神科病院のノンフィクションとかも読んでるけど、それらに比べて、みな「良い人」に描かれすぎてないか?むしろ、患者の家族など、外の世界に居る人が「悪者」って感じで描かれてる気がする。
それと、冒頭の女子中学生だけど、堕胎した子の父親は・・・
これ、カンの良い人なら気が付くよね。
天童荒太「永遠の仔」を読んでれば、容易に察しがつくと思うぞ。
父親をボカして描くよりも、最初からハッキリ描いてくれた方が、オレの好みだな。ミステリーじゃないのに、父親は誰だ?みたいな、よけいな謎が気になって、閉鎖された精神科の病棟っていう本質が薄れてる気がする。
この病院の中で唯一の「悪者」、重宗は殺されるんだけど、う~ん・・・
ちょっと、悪者ぶりをデフォルメしてるような・・・。
ラストの裁判所でのシーンも、ちょっと出来過ぎな気がする。
心温まるハッピーエンド的な結末だけど、これも違和感・・・。
30年以上も精神科病院に入院してた人が、こうも上手い具合にコトを進められるかなぁ、ってのが、オレの感想だ。
なので、☆3個・・・。

 

以前、こういう本を読んだんだけどね。(オレの書評というか感想も書いてる)

オレ的には、こちらの方が好感が持てる一冊だな。
「閉鎖病棟」
は、患者側の視点に立って描かれてるけど、その患者を取り巻く家族や地域の人の苦悩も描かないと、
ちょっと、違うんじゃないか?
って思ってしまうのだ。
精神科病院を扱ったものと言えば、映画、「カッコーの巣の上で」が有名だな。
これはアカデミー賞の作品・監督・主演男優・主演女優賞を獲ってる大傑作。この映画は、もう何回観たか分からないぐらい観てる。
映画と小説を比べるのはナンセンスだけど、この手の題材だとどうしても「カッコーの巣の上で」と比べてしまうんだよなぁ。
って事で、久々に「カッコーの巣の上で」DVDを観よう・・・。

次回の予定~
マナーは覚えるもの!
品性は身に付けておくべきもの!
まぁ、そんな話。

 

 

 

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