「後悔と真実の色」は貫井徳郎の代表作になるかもしれない

やってしまった・・・。
徹夜しての読書。
寝よう、寝よう・・・
寝なきゃ!
と思いながら、読み進めた本を閉じることが出来ずに、とうとう最後まで読了。
仕事もあるし、徹夜なんかして本を読んでる場合じゃないのに、どうしても手が離せなかった。
貫井徳郎「後悔と真実の色」だ。
文庫本で700頁に迫る長編。
最初は、手が空いてる時に少しずつ読んでいこう、ってつもりだったのに、読み始めると、そんな悠長な読み方は出来なくなった。昼過ぎに読み始めて、事務所に居ても仕事もしないで読書に熱中。帰宅してからもベッドの中で読み続けて、読み終わったのは明け方だ。
これ、完璧に仕事に差し支える・・・。
けど、仕方ないのだ。この「後悔と真実の色」、すさまじい本だったからな。
どんな本か?って聞かれても、とても一言で説明できないけど、
とにかく・・・
読め!
って、声を大にして言える本だな。

貫井徳郎・・・この人、デビュー作の「慟哭」で、とんでもない離れ技(ラストでの大どんでん返し)をやってのけて、それ以来、ちょくちょく読んでるんだけど、どの小説も一定の水準を超える力量はファンが多い。テレビドラマになったり映画化されたりした作品(愚行録)もあるけど、この「後悔と真実の色」「慟哭」と並ぶ代表作になるんじゃないか?
作風は、結末がとにかく暗い。ハッピーエンドな結末って有ったかなぁ?っていうぐらい、どの小説も暗い。ジャンルとしてはミステリーだけど、ミステリーの枠に収まり切れない懐の深さがあるのが貫井作品の特徴だ。
とりあえず背表紙から引用・・・

”悪”を秘めた女は駆除する―若い女性を殺し、人差し指を切り取る「指蒐集家」が社会を震撼させていた。捜査一課のエース西條輝司は、操作に没頭するあまり一線を越え、窮地に立たされる。これは罠なのか?男たちの嫉妬と裏切りが、殺人鬼を駆り立てる。挑発する犯人と刑事の執念、熾烈な攻防は驚愕の結末へ。第23回山本周五郎賞受賞作。

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ミステリーって、謎解きに軸足を置くか人間描写に軸足を置くかで味付けが変わって来ると思うんだけどね。
たとえば、難解なパズルのような謎解き、精密に練られたトリックなんかに注力して、人間の描写がスカスカになってしまったり・・・。こういう本は読ん出てても面白くない。ただのパズルを解いてるようなものだと思うのだ。
反対に人間をキッチリ描いてるんだけど、謎解きの部分が稚拙だったり・・・。これだと、ミステリーを読んでるのか、普通の小説を読んでるのか判然としなくなるし(-_-;)
でね、この「後悔と真実の色」なんだけど、ミステリーの謎解き人間描写を両立させてる。
それも高い次元での両立だ!
ミステリーの中の一分野、警察小説に分類されると思うけど、とにかく警察内での人間関係や捜査方法なんかを丁寧に描いてる。主人公にとどまらず、脇役たちも目の前に居るかのような臨場感を持って迫って来る。男の嫉妬なんていう、ある種、醜い部分も丁寧な筆致で描かれてて、まさに重厚!
これだけの頁数だから登場人物もそれなりに多いけど、どの刑事も癖があって、それでいて思わせるんだよね。あ~、こういう人、居るだろうなぁ・・・って。この描写力は、さすが貫井ワールド!

謎解きの方はどうかというと、これもかなりハイレベル。
パズルのようなミステリーなんかだと、「こんな人殺しの方法、有り得んだろ!」って事件やトリックが書かれてるモノもあるけど、本書は現実味を帯びた描写。それでいて、解けない謎・・・。
なんで指を切断するんだ?
殺害された女性たちに何か繋がりは有るのか?
動機は?

もうね、謎がてんこ盛りw
残り100頁ぐらいで、犯人はこの人かな?って予想してみたりするんだけど、動機が思い浮かばない。(これも前半にちゃんと伏線として述べられてた)上手いんだよなぁ・・・。
人間描写と謎解きを高い次元で両立してるのが、「後悔と真実の色」なのだ。
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両立といえば、「64(ロクヨン)」・・・。

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警察小説の名手、横山秀夫「64(ロクヨン)」だな。こちらは映画にもなったし、ベストセラーだったし読んだ人も多いだろうけど、うん、後半までは、この「64(ロクヨン)」と似たような雰囲気だな。警察内部のドロドロした人間関係なんか、類似点が多いような気がする。この本も徹夜で一気読みしたんだけど、やっぱり人間が描かれてる小説は、読者をグイグイ引っ張っていく推進力がある。
このクラスの小説だと、その推進力も並大抵のモノじゃない。
オレの感想はこちら・・・。

謎解きと人間描写の両立といえば、一昔前なら松本清張なんて有名作家が居たけど、横山秀夫やら貫井徳郎ってあたりも、人間を描かせたら上手いと思うのだ。

 

で、話は戻って本書「後悔と真実の色」なんだけど、主人公の西條、う~ん、過酷な運命だ(涙)
この辺りも貫井ワールドなんだよなぁ。無事に犯人も逮捕されて万々歳!で終わらない。
重く厚い雲に覆われたような読後感だ。
犯人も逮捕されてるし、明るい結末でも良さそうなんだけど、なんかジメ~ッとした結末なのだ。
これは主人公・西條の境遇がそう思わせるんだろうけど、この暗~い読後感、貫井ワールド!
そして、これは・・・
癖になる!ww
まぁ、オレの場合、連続で貫井作品を読むほどハートが強くないんで、次に貫井作品を読むのは2~3ヶ月後だけどな(涙)

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次回の予定~
内視鏡検査の結果。
ご当地グルメ「津ぎょうざ」の話。

 

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